秩父札所スケッチめぐり その二
最近では珍しく朝から雲ひとつない青空が広がっている9月8日のこと。
秩父札所スケッチめぐり、その2回目を行いました。
例によってBD-1を西武秩父まで輪行させ、そこから11号線を北に向うこと約5キロで
札所第3番、常泉寺に着きます。
背後にある里山に囲まれ、少し高台にある観音堂からは、のどかな田んぼとあぜ道が
遠くまで望め点在する家々も、至って静かな風景が広がっています。
狭い境内には、観音堂が目いっぱいに見上げるように建っていて、遠景も近景も
感じられないくらいに見る者に迫ってきます。
幸いに本堂に向って境内にはベンチが、いくつか用意されていて、スケッチをするには、
これは好都合でした。
それにしても何という屋根の大きさか、その張り出し方が並ではないのです。
うねりと反り返り、そして、青みがかった赤い色の屋根の着彩の難しさ。
その時、和光市から札所めぐりで歩いていると言う年輩の方が、声を掛けてきた。
5年ほど前から、一年に2度、この秩父の札所を回っていると言う。
はじめは34ヶ所を5回に分けて歩いたようですが、最近では体力の具合から、7回にして
いると云いながら、私の隣に座ってきた。
相槌をうちながら、また話を聞き、時には聞き返しもしたりと・・・・・・
そのうちに、この札所めぐりのきっかけは、実は73歳のときの大腸がんの手術がもとでと、
そこまで話が進んでいった。
当時は、せめて75歳までは生きたいと思ったのに、5年たった今、最近も検査に行ったの
だが、まったく異状なしと言われたと、それはそれは、嬉しそうに話をされていた。
78歳とは到底思えない若々しさで、その方は、本当に人世、今が最高に幸せと云っていた。
私を含めて、この秩父の地で、お話をしていますと、どなたも何かしらの問題を抱えている
ものだと、この時もつくづく思ったものでした。
肝心のスケッチですが、話半分、絵半分で、集中力、気合が、いまひと息入らずで、
ただひたすらに、それらしく色を置いただけのスケッチでありました。
でも、描いている間は楽しかったです。
そのスケッチを終えて、境内から出ますと、真正面に見える山並みの中に、中央に
こんもり見える形の良い山が丸山であります。
西武秩父線の、芦ヶ久保駅から登り始め、グリーンラインを何度か横断して山道を
行きますと、展望台のある山頂に着きます。
そこからの眺めは、さえぎる物がなく、それは素晴らしい絶景であります。
埼玉県民の森を通って、帰りは4番の金昌寺まで下る道は長いですが、これが永い間の
私の好きなハイキングコースでありました。
さて、その金昌寺には、この3番から約10分ほど、BD-1で走ると到着です。
数ある札所の中でも、とりわけ人気の高いお寺さんです。
山の斜面にある境内は当然坂が多く、その山肌に沿うようにして、たくさんの石仏が
見られます。
その数は1300とも云われていて、他にも見るものの多い寺院であります。
ここに来ますと、まずは境内の中にある、お馴染みの「そば屋」さんで腹ごしらえであります。
ざるそばも量が多く、地元で取れた野菜の天ぷら付き、相変らず、煮物、漬物も
たっぷり出してくれて、これで600円。
秩父の人々の人柄の良さに本当に心が休まる思いです。
そして、スケッチですが、この大きな本堂は、3番以上に大きく、それに引き換え
境内が狭く、後ろにさがりようがないのです。
近くの方でしょうか、かなりの年輩の男性の方が、お孫さんを抱っこしながら、後ろから
ついてきます。
「それだったら この本堂の裏手にある奥の院を描いたらどうかね」 と言ってくれます。
「そうですか」 と言って、その人に付いて、一緒に裏山に登り始めたのですが、その六角堂、
どうにも、あまり面白くないのです。
せっかく案内してくれたのですが、このお寺の入口にある山門が見事で、前から興味を持って
いたのもあり、「あの山門を今日は描かせていただきます」 と、またお孫さんともども、その山を
下ったものでした。
二階造りの仁王門、木造りでは、この秩父札所中、一番の大きさといわれる、2メートル少々の
仁王様が、力強く両側に立っておられます。
山門には大草履が掛かっていますが、仁王様は健脚の神といわれるところから、草履の奉納と
なっているようです。
そして、このスケッチは道端にスケッチブックを広げ、四つんばいになるようにして、描いた
ものであります。
描いている途中、先ほどの年輩の方が、また、来られましてね、
「ふーん これは いいねぇ これは いいねぇ」 を、連発されますが、
なんともこちらは、小さくなるばかりでありました。
その方が去ってから、今度はさっきの「そば屋」さんの奥さんが、この離れたところまで急いで
やって来まして、
「いま 来た人がいたでしょう あの人が今、山門を描いているから絵を見せてもらえって
云われたので来たのよ」 って。
その気持ちは、すごく嬉しいのですが、それほど云われる絵ではないのですが・・・・・・・
この秩父に来ることの楽しみには、もうひとつあります。
秩父には数多くの温泉が点在していて、以前から札所めぐりの度にその近くの温泉に
入ったものでした。
今回の西武秩父駅附近と言えば、この「武甲温泉」でしょう。
二枚のスケッチをようやくの事で描き、まずは、その出来不出来は別にして、ほっとした
気分と共に、秋風も感じる、あの大きな露天風呂に入ったものでした。








































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