2012年1月21日

平成24年 国立劇場 初春歌舞伎公演

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東京三宅坂、 国立劇場は、開場45周年を迎えました。

歌舞伎を中心とした劇場で、その伝統芸能の伝承と継承を目的として活動しており、
また、古典芸能文化の普及、そして、後継者の養成、研究などの大事な役目も担って
います。

といっても、ここは何はともあれ、かたい事は脇に置いて、歌舞伎好きにとっては、
心やすらぐ、楽しい大きな空間であることは間違いありません。


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昨年10月から始まった、45周年記念公演は、来月2月はお休みですが、4月まで
6ヶ月にわたっての公演が続きます。


昨年10月は第一弾として、曲亭馬琴 原作 通し狂言「開幕驚奇復讐ものがたり」
(かいまく きょうき あだうち ものがたり) でした。

出演は尾上菊五郎劇団で、尾上菊五郎さん、菊之助さん、田之助さん、松緑さん、
時蔵さん、團蔵さんなど賑やかな顔ぶれでした。

菊五郎さん菊之助さん親子による、宙乗りなど、見所も多く相変らずサービス精神
あふれる大芝居を展開してくれました。


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11月は近松門左衛門作 「日本振袖始」と、「曽根崎心中」の演目でした。

「日本振袖始」は、中村梅玉さん、中村魁春さん、東蔵さん、梅枝さんなどの出演で
後半の「やまたのおろち」の退治の場では、大勢の若手が連なって大蛇の姿になり
それと戦う「すさのおのみこと」を、演ずる梅玉さんの華麗な舞踊化された演技は、
まさに夢幻の世界をも感じさせたものでした。

人間国宝の坂田藤十郎さんの「曽根崎心中」は、もう何回拝見したことでしょうか。
多くは歌舞伎座でしたが、常にこれ以上は無いという、完成度の高さに、お客さんは
大喜びでした。


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12月は真山青果の定番「元禄忠臣蔵」でしたが、これは時間が無くて出掛け
ませんでした。

さて、この1月、初春歌舞伎は、河竹黙阿弥作 通し狂言「三人吉三巴白波」と
「奴凧廓春風」の、ふたつであります。

三人吉三が出会う、大川端での、盗んだ百両と名刀を手にした、お嬢吉三の
「月におぼろに白魚の・・・・・」の、名せりふが聞けるのも初春にふさわしい演目で
しばし、浮世の憂さを忘れる思いでした。

松本幸四郎さん、市川染五郎さん、中村福助さん、高麗蔵さんなど、こちらも賑やかな
顔ぶれでした。


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その二番目の「奴凧廓春風」。

なんとも珍しい出し物で、初めて拝見しました。

松本幸四郎さん、染五郎さん、そして、息子さんの小学校一年生の金太郎君の
親子三代が一同に会してのお目見得であります。

奴凧に扮して染五郎さん、踊って踊って、空まで上がり、最後は風にあおられ大凧が
大空でぐるぐる回し。

曲といい舞踊も素晴らしく、拍手喝采の中で幕になりました。


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市川染五郎さん、一幕目はお坊吉三で、激しい動き、続けて奴凧と、息もつかせぬ、
ほとんど出ずっぱりの今回の公演。

今が盛りというところでしょうか。ものすごい活躍ぶりです。

染五郎さんファンには、たまらないお年玉になったようです。

また、場内はいたるところに大凧が飾られ、お正月にふさわしい雰囲気を出しています。

国立劇場  食堂 「十八番」 (おはこ) の、中まで大凧の勢ぞろいです。


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歌舞伎を見始めたのは高校2年生頃から、長い長い歌舞伎見物が続いています。

劇場の、この定式幕という、柿色、緑色、黒色の三色の幕。

この幕、見たさに劇場に来ているような気も致します。

さて、45周年記念公演。

終盤は、3月が、市川團十郎さん主役で 「一谷ふたば軍記」。


そして、4月は、昨年3月の大地震に見舞われ、途中で公演中止になった、通し狂言
「絵本合法辻」 (えほん がっぽうがつじ) の、再演であります。

配役も同じ、私の大好きな、片岡仁左衛門さん。

このふたつ、どちらも見逃せない芝居であります。


本当に歌舞伎って面白いですね。


1月の公演は27日まで。


国立劇場 チケットセンター  0570 07 9900
 


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2010年11月25日

年末年始は国立劇場

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先日、タクシーで国立劇場に向う途中、運転手さんが、樹木が一番多いのが、この
千代田区なんだそうですね。と、話しかけてきた。

その話に一瞬、私は世田谷区、練馬区などの緑を思ったのですが、走るその車窓から
靖国神社の境内の森、千鳥が淵から三宅坂、皇居の内堀あたりの、今が盛りの沢山の
紅葉を見ると、先ほどの運転手さんの言葉にも、ああ、そうなのかもしれないなと、思った
りもしたものでした。


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東京の紅葉が、もっとも美しくなるのは、例年12月3日頃と、どこかで聞いた事があります。

名木揃いの代々木公園、国会議事堂周辺と神宮外苑の、あの見事なイチョウ並木。

表参道のケヤキ並木も、ステキな街並みにマッチして美しい。

都会の紅葉の素晴らしいところは、洗練された樹木の選定、そして、秩序をともなった、
手入れの美しさにあるように思う。


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さて、国立劇場の場内に入ると、周辺の紅葉に勝るとも劣らない、華やかさを、いつもながら
感じます。

開演前のざわめき、これから幕が開く期待感、そして、観客としての、期待と緊張感は
歌舞伎ばかりにとどまらず、演劇全般にいえる、生の人間の芝居の醍醐味かもしれない。


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国立劇場は伝統芸能の継承と、将来への保存を大きな目的としている。

歌舞伎座、新橋演舞場、明治座などのように商業演劇を主とした劇場とも意を異にして
いますが、歌舞伎芝居そのものの華やかさ、賑わい、感動は変わらない。

大らかで、どこの席からでも見やすく、それでいて手軽に行ける入場料の設定と、私はこの
国立劇場が大好きだ。


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1年、12ヶ月。

この間に開かれる国立劇場の歌舞伎公演は、例年、10月、11月、12月、1月、そして、
2月の若手花形歌舞伎公演の、約5ヶ月間が主体になっています。

それに、7月、8月は歌舞伎鑑賞教室なるものもあり、これは初心者、特に学生さん達の
観賞のための手ほどきの説明があり、その後に1時間少々の一幕物の芝居が上演されます。

これもなかなか、好評のようです。


さて、先月に続いて、今月の観劇は、通し狂言「国性爺合戦」(こくせんやがっせん)の、上演。

近松門左衛門による、時代浄瑠璃の最高傑作と言われるもの。

栄華を誇った、明朝は内部の謀反により敵方の韃靼国に攻められ、壊滅の危機に。

海上に逃れた帝の妹が日本に漂着し、その浜で、かってその帝から追放されていた、実の
親子にめぐり合い助けられる。

和藤内と云う名の息子共々、その親子三人は明朝の再興を誓って大陸に渡っていく。


日本と中国を舞台にした、スケールの大きな芝居で、正義と忠誠、そして、義理をからませた
近松門左衛門ならではの、巧みな芝居が展開します。


大御所、坂田藤十郎、市川團十朗、中村梅玉、中村東蔵、市川左團次さんなど、
賑やかな顔ぶれが揃いました。


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12月といえば、昔から芝居の世界では、この「仮名手本忠臣蔵」(かなでほんちゅうしんぐら)が、
くり返し上演されてきました。

しかし、ここ国立劇場では、なんとも、久し振りの忠臣蔵の上演であります。

元禄十五年(1702) の師走、大石内蔵助、率いる赤穂浪士四十有余名によっての討ち入りは
その後、それを題材にして、数々の忠臣蔵物の芝居が出来ましたが、その中でも最高傑作と
言われるのが、この 「仮名手本忠臣蔵」であり、歌舞伎を代表する演目ともなっています。

初演以来260年続いていると言う、人気狂言でもあります。

通常、「仮名手本忠臣蔵」の通し狂言は、時間にして、およそ12時間近くにもなります。

普通、昼の部前半、夜の部後半の公演となりますが、今回の国立劇場では、4時間半ほどに
まとめて、三段目、四段目、道行の場、七段目、十一段目となっています。

それぞれの名場面と言われるところは、勿論、揃えられています。


出演は、松本幸四郎、中村福助、市川染五郎、坂東彦三郎、市川左團次さんなど、重厚にして
華やかな方々の顔ぶれであります。

これもまた、年の暮れの楽しみでもあります。

初日 12月3日(金) から  12月26日(日)

前売り 発売中です。


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国立劇場。初春歌舞伎公演は、毎年恒例の尾上菊五郎劇団中心による、とっても楽しい
通し狂言で、新年の幕をあけます。

今回は何と200年ぶりの復活上演とか。

「四天王御江戸鏑」 (してんのうおえどのかぶらや)、五幕八場の登場です。

なんとも、200年振りとは、懐かしい。

勿論、誰も見たことはないわけですが、それをわずかな資料だけで、あとは、あることないこと、
ない交ぜにして、長編芝居にしてしまうところが歌舞伎の面白さです。

自由奔放に作り直せるところが歌舞伎の強み、力、ともいえそうです。

サービス精神、随一の尾上菊五郎さんのこと、さて、今度のお正月、どんな現代的なパロディが
飛び出してくるやら、今から楽しみであります。


出演は尾上菊五郎、尾上菊之助、尾上松緑、中村時蔵、坂東彦三郎、澤村田之助、
    坂東亀三郎、尾上松也、市川團蔵、さんと、大変な賑やかさであります。


  初日 1月3日(月) から 1月27日(木)まで。 12時開演。
      ただし、14日(金)  21日(金) は、4時開演。

     チケット予約開始  12月6日(月)  午前10時より。

     各月とも、国立劇場チケットセンター    0570 07 9900


     歌舞伎 おもしろいですよ。

      
  
                         * 


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2010年3月 9日

3月 国立劇場 花形歌舞伎

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東京 三宅坂の国立劇場は1月の菊五郎劇団に続いて、3月は花形歌舞伎公演と
題して当代の若手俳優中心による、「金門五山桐 きんもん ごさんのきり」 石川
五右衛門の上演であります。

主演の石川五右衛門には若手のホープ、中村橋之助さんが勤め、それをささえる
のが、準主役の中村扇雀さんであります。

それぞれに二役三役を演じ分ける、お二人の奮闘公演に、ふたたび厳しい寒さが
ぶり返してきた昨日、出かけてみたのでした。


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昔から歌舞伎の世界はあることないことをない交ぜにして、話に幅を広げたり中身を
厚くしては観客を楽しませる、そのサービス精神が旺盛なのが歌舞伎を面白くさせて
いるのかもしれません。

今回のこの石川五右衛門の芝居は歴史は古く、安永7年(1778) 大阪の角の芝居で
初演されたとあります。

作者は初世並木五瓶。

例によって作者独自の物語を構想し、この作品では五右衛門の父は、実は異国人の
宋蘇卿(そうけい) と、して、親子ともども中村扇雀さん扮する真柴久吉(史実の羽柴秀吉
豊臣秀吉のこと) に恨みを抱き、その秀吉に復讐をするという奇想天外な設定がされて
います。

全五幕の内、人気が高く、くり返し上演されているのが「南禅寺山門の場」の一幕で
あります。

楼上には石川五右衛門が、地上には真柴久吉が対峙するという、緊張する場面の
ところですが、舞台いっぱい朱塗りの山門は二階建てで、まさに絢爛豪華な舞台で
あります。

一説にはこのセットだけで、昔聞きましたが制作費がなんと300万円ほど掛かるそうです。

それがわずか5分か、6分ほどの上演時間てすから、この辺が歌舞伎の豊かさ、大らかさ
贅沢さ面白さがあるように思います。

その他に空中のつづらが割れて中から石川五右衛門が飛び出してくる「つづら抜け」の
宙乗りなど、スリル満点の場面が続きます。


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さて、この芝居に先立ってインターネットで国立劇場から送られてくる会員情報を
みていたところ入場者に対して抽選で今月は出演者のサインが入った額入り写真を
プレゼントするとあり、私は大のファンの中村扇雀さんを希望してネットで応募したのでした。

橋之助さん、扇雀さんそれぞれに10名づつだったのですが、その10名に入ったらしく
劇場からこの通知をプリントアウトして当日持参するようにとの連絡があったのです。

昨日頂いたのがこれで綺麗に額装された写真には銀色の筆で直筆サインがされています。

真柴久吉の扮装姿であります。

その写真の右にあるのが、1月に買ったケイタイの黒子に続いて今月から発売された
ニューモデルのストラップ人形「鑑獅子」です。

新発売は黒に対して今度は白地できました。

ようやく、黒子にもいい相方が出来たようです。


国立劇場3月歌舞伎公演

花形歌舞伎 通し狂言 「金門五山桐」 石川五右衛門 五幕九場
     
 3月5日 初日   3月27日まで

出演  中村扇雀  中村橋之助  坂東彦三郎 市川高麗蔵  片岡亀蔵ほか

国立劇場チケットセンター  0570 07 9900        


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2009年1月30日

歌舞伎座の建て替えに思う

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古い話で恐縮ですが、昔、銀座三丁目に、パルプビルという建物がありまして、その中の
一室で「映画の友」の編集長を、その当時されていた、あの淀川長治さんが、月に一度
映画の友のファンクラブの例会を開かれていた事があります。

私はその頃、まだ、日大豊山高校二年生だったと思いますが、その集まりが楽しくて毎回
参加していたものでした。

そのあたりのことは、このブログ 「小森和子さんと淀川長治さん」 にも、記事を書いております。

人なっこい淀川さんが、まるで人の肩を抱くようにして、いろいろと若かった私たちにお話を
良くして下さったものでした。

その中で、今でもよく覚えているのが、映画を見るのはもとより、世の中のさまざまな素敵な
ものを見たり聞いたりして、そこから学ぶことは人間生きていくうえで、これはとても大事な
ことだと。

それは歌舞伎であったり、また寄席にも出かけ、良い噺を名人から聞くことも大事なことだと。

そしてオペラにも出掛けてみることも必要だと、くり返し言われておりました。

オペラにはいまだに行っておりませんが、寄席に関しては年の離れた兄から、小学校三年生
ぐらいから連れて行かれ、高校時代は一人で盛んに行ったものでした。

その時は歌舞伎はまだ見た事がなく、わりと素直だったのか、淀川さんから云われてから
間もなく歌舞伎座に行き始めたのです。

その面白さに目覚めた高校三年の時などは、兄から「お前は学校が終わると家に帰らず
歌舞伎座に帰ってしまう」と、まで云われたものでした。

青春というものがあるならば、それは歌舞伎座の中で謳歌していたのかもしれません。

数多くの三階席にすわり、朱塗りの欄干に手を触れ、場内の本当に隅々まで歩き回った
この劇場は私にとって、その当時、一番の居心地の良い空間でもあったのです。


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「NHK テレビニュース」 より
 

さて、その歌舞伎座の建て替えが今度こそ本決まりになり、1月28日には、新しい
歌舞伎座の改築計画の概要が示されました。

地上約150メートル、29階のオフィスを伴い、その前面に現在のような瓦屋根や、カールした
唐破風の外観を今まで通り残した劇場が出来るようであります。

1889年から続く歌舞伎座は、現在の建物で四代目になるそうです。

国の登録有形文化財にも指定された貴重な建物でありますが、来年5月から工事が始まる
ようです。

あのお馴染みの姿が銀座から消えるのは、とても淋しい限りですが、新しい時代に向って
また、そこから、新しい伝統が生まれるのではないかと思っています。

淀川長治さんからの一言で、歌舞伎座とのお付き合いも、なんと40年以上にもなりました。

お陰様で長い間、本当に楽しむ事が出来ました。

来年4月まで「歌舞伎座さよなら公演」が、盛大に行われております。


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2008年12月 5日

まずはめでたい正月歌舞伎

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体調が心配されていた市川團十郎さんが半年ぶりにめでたく舞台に復帰される
ことになりました。

国立劇場初春歌舞伎公演でのことであります。

この方、人一倍サービス精神が旺盛な方のようで、頼まれればけっして断らない、
その献身的ともいえる仕事への意気込みで、今までやってこられた方でした。

しかし、時にはそれが自分の体を壊すことにもなりかねず、これからは充分な休息を
持って、ご自愛されて末永く私達を楽しませていただきたいものであります。

さて、1月、国立劇場初春歌舞伎は何とも豪華な顔合せで、團十郎さんの他に重鎮、
中村芝翫さん、坂東三津五郎さん、中村橋之助さん、中村福助さんと、国立劇場久し
振りの方々の出演であります。


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通し狂言の多い中にあって、今回の公演は珍しく三本の演目が並びます。

新年の幕開けにふさわしく、まずは歌舞伎十八番の内、「象引」(ぞうひき)から
始まります。

市川團十郎家のお家芸の一つ、豪快で強い正義の味方のヒーローが、大悪人に
立ち向かい、巨大な動物(象)を引き合うというもので、悪霊退散の願いも込められて
いて、それは新年にふさわしい、おめでたい出し物といえます。

この幕は團十郎さんの久し振りの活躍が楽しみであります。

中幕が御大、中村芝翫さんがお正月を華やかに、そして格調高く、「十返りの松」
(とがえりのまつ)で祝います。

本邦初演の舞踊で、これも大いに楽しみであります。


そして、最後の幕は世話物で、「誧競艶仲町」 (いきじくらべ はでな なかちょう)。

四世鶴屋南北ほかの合作であります。

下総八幡の郷士、南方与兵衛の力を借りた、とび頭与五郎が米屋長吉の窮地を
救うまでを、遊女の都をめぐる与兵衛、与五郎、の恋の達引や三人の意気地くらべ
をも、からめて描いたお芝居であります。

三津五郎さん、福助さん、橋之助さんそれぞれに三人三様、世話物を得意とするだけに
これは見逃せません。


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今年1月の国立劇場


新年の歌舞伎の各劇場はそれは華やかなものであります。

ここ国立劇場でも、所狭しとお正月飾りが目を引き、ロービーには大凧が上がり、
四隅にはたくさんの繭玉も飾られ、また7日までは、ロービーで獅子舞ありでそれは
大変な賑わいであります。

あぜくら会、会員優先予約でチケットはすでに取りましたが、一般発売は12月6日
からであります。


東京三宅坂 国立劇場


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2008年11月27日

「歌舞伎座さよなら公演」

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早くも初春歌舞伎公演の演目が発表されました。

そこには「歌舞伎座さよなら公演」とあります。

今までにも何回となく歌舞伎座の建て替えについての話はありましたが、いづれも
その後の音沙汰がなく、いったい何時になったら、あの歌舞伎座が建て直しがある
のやらと、折にふれては思っていたものでした。

それがここにきて、急にその話が現実のものとなってきたようです。

平成21年1月から22年3月まで「歌舞伎座さよなら特別公演」と題して興行がが行われ、
それが最後で、あの歌舞伎座が本当に姿を消すことになるのです。

このブログでも今までに何度となく歌舞伎座のことを書いていますが、高校時代から
通いつめていたこの木挽町の歌舞伎座が無くなるとなりますと、云うに云われぬ寂し
さを私は感じます。


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いつも三階席で若い頃はお金が無いときは、それもB席で、少々余裕があるとA席で
チケットを取るにも劇場前に一晩徹夜して一番前の席をよく取ったものでした。

朱塗りの手すりと言いますか、欄干と言いますか、席の前にある歴史を感じさせる
赤い塗りと古びた真鍮の金具の鈍い光も懐かしい思い出であります。

その高校2年生から数十年が過ぎましたが、その時に座っていた座席がそのままに
今でも並んであるのですからこれはすごいことです。

あの席にもこの席にもと、何百回となくさまざまな席に座り続けたのですから。

そしてここでは、どこの席が見やすいか、どこの席が見にくいか、これも知り尽くして
しまったものでした。

あの見慣れた独特の天井の作り、また、間口15間の舞台の両袖に垂れ下がった細い
布も昔からすすけて汚れ放題で、見るたびに何とかしたらと思ったりもしたものでした。

どちらかと言えば、この歌舞伎座は見にくい劇場です。
 
お客さん同士のトラブルも何度か目にしています。

少々大きな人が前に来られたら本当に舞台が見られなくなります。

ですから中央の席は取りません。やや斜めから見る席を取ります。それも通路側の
何列目でもいいですから、29番か36番の席です。

この席は通路を介して見るわけですから広々として気分よく見られるのです。

劇場前で前の晩から、よく徹夜したのも今では懐かしい思い出です。

寒い時には朝8時ごろになると、歌舞伎座から甘酒が振舞われたものでした。

その甘酒がさすが歌舞伎座、うまい甘酒でした。

前後に並んでいる人たちも同好の士のよしみとでも云うのでしょうか、何となく
連帯感のようなものも高まったり、助け合ったりで案外これも面白く楽しいものでした。

今はインターネットと電話予約になりましたが、その頃の方がずーっと良い席が取れた
ものでした。

さて、40年をはるかに越す、歌舞伎座とのお付き合い。

その思い出はつきませんが、残されたこれからの1年と少々の時間、その最後の姿を、
しっかりと見ておきたいと思っております。


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2008年11月15日

江戸川乱歩歌舞伎の誕生

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国立劇場10月の歌舞伎公演 「大老」 ( 主演 中村吉右衛門 ) に続いて
11月の歌舞伎公演 「 江戸宵闇妖鉤爪 」 ( えどのやみ あやしのかぎづめ ) に
先日行ってきました。

主演は先月の主役中村吉右衛門さんの兄、松本幸四郎さんであります。

話によると今回の出し物の発案者はその息子さん、市川染五郎さんとのこと。

かねてから好きだった江戸川乱歩の小説の中から、半人半獣の殺人鬼と名探偵
明智小五郎の対決を描いた 「人間豹」 が、ことのほか、お好きなようで立っての
願いで、歌舞伎仕立てのお芝居が実現したようです。


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江戸川乱歩。私も少年時代、この作家の小説が好きでした。

「二銭銅貨」 「怪人二十面相」 「青銅の魔人」 「パノラマ奇談」 などなど、
この作家ならではの怪奇趣味に、怖いもの見たさに恐る恐るそっとページを開いては
読んだものでした。

さて、その中でも、この 「人間豹 」は、読んでいないのですが、昭和初期の東京での
話を、いかに幕末の江戸に持っていくのか、その手法に非常に興味をもって出掛けた
のでした。

割れんばかりの大太鼓を打ち鳴らす中、場内は真っ暗闇のなかでの開幕です。

序幕は不忍池のほとり出合茶屋の場からで、色男で道楽息子、市川染五郎さん扮する
神谷と商家の娘お甲との、ひそやかなしのび逢いから物語は始まります。

しかし、その直後に何者かにお甲は惨殺されます。

神谷の次の恋人、人気女役者お蘭もまた大衆の目の前で殺されしまい、そこに
明智小五郎の登場となります。

最後は明智小五郎と「人間豹」こと、恩田乱学との死闘の対決になりますが、ついには
見世物小屋から、大凧に乗って恩田乱学は何処ともなく天高く飛び去っていくのでした。

話は単純でありますが、一人の男の深く暗い内面を垣間見られるのも芝居ならではの
もので、そこには人間の弱さも迷いも共感できるところもあり考えさせる芝居でもあります。

神谷芳之助と殺人鬼、恩田乱学の二役を市川染五郎さんが早替りで勤め、ラストでは
宙乗りまで見せる大奮闘公演であります。


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演出は主役の松本幸四郎さんで、役者としての演出だけに、さすがにお客の心を
掴んでいて、どこをどうやったら喜ぶか、こういう仕掛けを見せたらお客は大喜びする
だろうと観客を、まさに手玉に取ったような面白い芝居にもなっていました。

脇役も自由自在に使いこなす、これにも長けているわけで、だから面白いはずです。

上演時間も正味2時間少々で、普段の歌舞伎公演の半分以下というのもすっきり
として、たまにはこれも良いものです。


途中、30分の幕間では、先月に続いて劇場内の2階の食堂「十八番」(おはこ) で、
「あぜくら弁当」をいただきます。

芝居の合い間に食事をする、そして食事のあとにまた後半の芝居を見る。

こんな浮世離れしたものも、このあわただしい時代にあって、これも貴重な存在
なのかもしれません。

公演は11月26日までです。

                 
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2008年9月 3日

この秋の国立劇場が面白い

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東京、三宅坂、国立劇場の、この秋の歌舞伎公演のラインナップが発表されました。

3ヶ月にわたって開かれる年内の歌舞伎公演は、いずれも通し狂言で、それぞれに
演目、役者さん、共に申し分のない豪華さで大いに期待できるものと思います。


まずは、10月公演は、「大老」であります。

これは歌舞伎はもとより、昭和の演劇界で大きな功績を残された、劇作家、北條秀司の
13回忌の追善公演でもあります。

「大老」の物語は、

主人公、井伊直弼は、国際情勢を見据えて、米国と通商を開こうとしますが、それに
反対する、水戸斉昭らの反直弼派は政権を奪うため、朝廷を動かし、さらに直弼の
暗殺までも計画します。

反対派の純粋な若者達をつぎつぎに投獄してゆき、苦悩する直弼に、主膳は政治家と
しての道を貫き通すように懇願します。


しかし、迫り来る最期の時を予感する直弼は、雛祭りの前夜、お静の方と、つかの間の
語らいに安らぎを覚え、新しい時代のために自らを捨石となる覚悟をここで固めます。


その翌日、3月3日、雪降りしきる桜田門外・・・・・・・・・・

水戸の浪士たちは、登城する井伊直弼の行列めがけて、襲撃することに・・・・・・・


いま、大人気のNHK 大河ドラマ 「篤姫」 では、この井伊直弼を元前進座の、中村梅雀
さんが、勤められていました。

いい場面でしたね。

桜田門外。

雪が降りしきるなか、襲うもの、襲われるもの、その壮絶な切りあいの場面では、
「篤姫」の優雅な雛祭りの情景と、この寒々とした殺りゃくの場面が交互に短く映し
出されバックには、静かなソロのピアノのメロディーが流れました。

そこには静と動が入り混じり、なおのこと、もののあわれ、悲しみが見事に描かれた
名場面でもありました。


さて、こちらの歌舞伎の方は、重鎮、中村吉衛門さんが、この井伊直弼を演じられます。

重厚な役だけに、ここはまさにぴったりの役どころかと思います。

今までにも度々演じられているだけに、今回もますます高い評価を得るものと思われます。

ほかに、中村魁春さん、市川段四郎さん、中村芝雀さん、中村歌昇さん、中村歌六さん、
中村梅玉さん、中村東蔵さんなど、賑やかな役者衆であります。

公演は10月4日(土)から27日(月)まで。

一般前売り開始 9月6日(土) 午前10時より


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そして、11月 国立劇場は、江戸川乱歩作 「人間豹」を歌舞伎仕立てにしたお芝居で
「江戸宵闇妖鉤爪」 (えどのやみ あやしのかぎづめ) と、題しての上演であります。

乱歩自身が、この小説「人間豹」が、一番面白く書けていて、一番気に入っているとも
云われた作品だそうです。

原作の舞台は昭和初期ですが、ここではこれを江戸時代に移して、今までにないまったく
新しい新歌舞伎としての上演であります。

物語は、

謎の怪人「人間豹」といわれる彼は、幕臣神谷芳之助の恋人を執念深く追い詰めて、次々
と人を殺していく殺人鬼。

神谷は隠密廻り同心の、明智小五郎に助けを求めるが・・・・・・・・・・

そこには食うか食われるか、奇々怪々の謎に満ちた活劇が展開されていく。

出演は松本幸四郎さん、市川染五郎さん親子の共演であります。

また、市川染五郎さんが大凧に乗っての宙乗りを見せてくれるようです。

あの大きな国立劇場での宙乗りの一幕も、なんとも今から楽しみです。

公演は11月3日(月)から26日(水)まで。

一般前売り開始 10月6日(月) 午前10時より

そして、師走、12月 国立劇場は、尾上菊五郎監修 通し狂言「遠山桜天保日記」
(とおやまざくら てんぽうにっき) の上演です。

出演は尾上菊五郎さん、尾上菊之助さん、中村時蔵さん、尾上松録さんなどの
魅力的な方々による賑やかな師走芝居であります。

公演は12月3日(水)から26日(金)まで。

一般前売り開始 11月6日(木) 午前10時

明けてお正月ですが、それは又、後日のご案内であります。

本日は、まずは これまで・・・・・・・・・で、ございます。

                 

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2008年1月 6日

国立劇場 初春歌舞伎公演

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1月3日初日。

通し狂言「小町村芝居正月」(こまちむらしばいのしょうがつ) の開幕。

その2日目、4日になりますが、東京は三宅坂、国立劇場に行ってきました。

普段とは又違った華やかさ、美しさ、楽しさが、場内にはいっぱいにあふれています。
女性の和服姿も多いのは勿論のこと、正月ならではの男性の着物姿も、最近では結構
見られるようになりました。
それも年配者ばかりではなく、二十代、三十代の若い方の着物で来る方が多くなってきた
ように今年は特に思いました。

私も昨年は着物でしたが、これが、なかなか着ごごちも良いものでありまして、ゆったりとした
気分というか、いかにもお正月の芝居見物といった雰囲気が味わえます。

今年は何となく着て行かなかったのですが、みなさんの着物姿をを見ますと、うーん 着て来れば
良かったと 悔やむばかりでありました。

来年は絶対に又、着物と・・・・・・ 先の永い話であります。
  

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開演前には、お正月恒例の獅子舞が広いロビーで披露されます。

高い天井には繭玉が飾られ、大凧も左右に上げられ、それは賑やかなものです。

また今月は特に女性に人気のある、尾上菊五郎劇団の出演で、出し物も面白そうと、
超満員の盛況でありました。

このところ入りの悪さが目立つ国立劇場ですが、久し振りの大入りの賑わいは嬉しい
ものです。

それはひとえに出演者の顔ぶれのよさ、演目の見どころの多さに掛かっているようです。


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219年ぶりという今回の演目、

復活狂言といわれるものですが、長い間上演されないということは、その芝居はつまらない、
これではお客は呼べない、だからやらないであったわけですが、でも、それは昔の事。

現代では舞台機構が違います。

昔は出来にくい事が今では軽く出来てしまう。
今月の、このスペクタルたっぷりの、この芝居を見てつくづくそう思ったものでした。

要するに地味でつまらなかった芝居を、国立大劇場の最新設備をふんだんに使って、
ショーアップして見せる、内容も219年ぶり、誰も知らない、また誰も見たこともない芝居です。

縦横無尽にあることないこと、面白く作りかえることも出来るわけです。
名作中の名作はそうはいきません。

お客を楽しませることの旨いのが尾上菊五郎さんです。
サービス精神旺盛な方だけに、アイデァも随分出されたそうです。

毎年恒例になりつつある菊五郎劇団のお正月公演。

今年も大いに楽ませてもらいました。

1月27日まで上演です。


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2007年9月29日

傑作通し狂言「摂州合邦辻」の登場

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国立劇場ホームページから 玉手御前 坂田藤十郎丈

初秋から錦秋へのうつり変わり、いい季節になりました。

自転車で走るのにも、ベストシーズン到来と言うところですが、私にとってはもうひとつの
楽しみ、例によって歌舞伎見物のシーズン到来というわけでもあるのです。

10月から来年1月まで、三宅坂 国立劇場では、4か月連続で大歌舞伎公演が行われます。

10月なかばに行く松本幸四郎さん、染五郎さん出演の「俊寛」 「うぐいす塚」の公演は、
すでにご案内しましたが、続いての11月公演の演目が先日届けられました。

歌舞伎の傑作通し狂言「摂州合邦辻」 (せっしゅうがっぽうがつじ) の公演であります。
題名だけを見ますと何やら難しい話のようでありますが、その内容はいたってやわらかいものです。

人形浄瑠璃からの時代物芝居で、傑作狂言のひとつに上げられています。
安永2年 (1773) 大阪北堀江座で初演されたとあります。


河内の領主、高安佐衛門は若く美しい玉手を後妻として迎え入れますが、その時には
すでに二人の息子、次郎丸と俊徳丸という腹違いの兄弟がいたのでした。
兄の次郎丸は前々から、この高安家の後継に決まっている弟の俊徳丸を、亡きものにする
陰謀をくわだてています。

そんな状況のなかで、ある日、玉手はこの美しい俊徳丸に恋心を持つようになります。
継母が義理の息子に恋慕するという禁断の恋に発展していくのです。

ところがこの俊徳丸には相思相愛のなかの浅香姫という恋人がいるにもかかわらず、
玉手は恋焦がれ、挙句の果てに俊徳丸に毒を盛ってしまいます。

そのために顔は見るも無残に醜く変容した姿となって、それを恥じて家出をしてしまいます。

落ちぶれた姿でまた偶然に恋人浅香姫と再会しますが、ここでも、今もなお兄の次郎丸からの
追っ手が二人に迫ります。

その時、玉手の父親、合邦 (がっぽう)に助けられ、とりあえず、合邦の庵室にかくまわれます。
この場が、「合邦庵室の場」として人気が高く、今でもくり返しこの場だけがよく上演されています。

今回の公演では全段通し狂言として国立劇場でも39年ぶりの上演だそうであります。

玉手の父である合邦は尚も俊徳丸に言い寄る玉手をついに刺してしまいます。

息も絶え絶えのなかで言う玉手の言葉は、毒を盛ったのも自分であり、邪恋したのも
すべては俊徳丸を次郎丸の手から守るためのことと打ち明けます。

その証拠にと、自分の生き血で俊徳丸の病を治し、そして、ついに息絶えるのでありました。

なんとも嘘か誠か、誠か嘘かの、歌舞伎独特のあいまいさの面白さがここにもあります。

人間国宝の坂田藤十郎さんが玉手御前を演じられます。

合邦を片岡我當さん。

そして今、乗りに乗っている坂東三津五郎さんが、この俊徳丸を勤めます。

余談ですが、数年前になりますが、蜷川幸雄さんが演出されて、白石加代子さんと
藤原竜也さんの共演で「しんとく丸」と題して、この歌舞伎を元に芝居がつくられました。

その当時、大変な人気を取ったお芝居でして、歌舞伎とはまた違った面白さ、楽しさが
あったのではないかと思います。


国立劇場 11月歌舞伎公演  「摂州合邦辻」
初日 11月3日~26日まで。

一般チケット発売 10月6日 午前10時から

℡ 0570 07 9900

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