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2005年12月18日

小さな水彩絵の具

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Winsor&Newton FIELD BOX

今年も12月なかばを過ぎて、残る日々もあと僅かになった。

絵を描くのが好きなはずのプッポロが、はたして今年は何枚の絵を描いただろうか。
3枚か、4枚か。

この程度の描きようで、絵を描いていますとは余りにも、おこがましい限りだ。

プッポロのやっているクラブでも、最近は、とんとスケッチハイクも、ご無沙汰のままで、
それも大勢の皆さんに絵の道具を揃えて貰いながら、描く機会を持たないのには、
心が引ける思いである。

来年こそは体調をしっかり整えて、絵の方にも本腰を入れて取り込もうと、
小さな心に軽く誓ったりもする。


さて、先日の入院の二、三日前に上の写真の絵の具を池袋の世界堂で買った。

入院前に絵の具を急いで買うというのも、おかしなものだが、これから始まる入院に
対する不安感というか、怖さと言うか、何か一つ自分のもっとも好きな品物を常に手元に、
それも無性に置きたくなったのである。

それも飛び切り上等の物をである。

事実、入院中ベットでは、あらためて絵を描くわけではないのに、毎日明けても暮れても、
このわずか12、5センチに、6、5センチ。厚さも3、5センチしかない小さな絵の具を、
開けては閉めて、しめてはあけて、色の配置を変えてみたり、細くて可愛い小筆を
手のひらでなぞってみたり、こんなに小さいのなら、片手に持って、ついでにスケッチブックと
一緒に持てるから、立ったままで、どんな所でも描けるぞと思いをめぐらし、ひととき手術の後の
痛さ、苦痛さを、どのくらい、まぎらわしてくれた事だろう。


小さな形ながらプッポロにとっては、どのくらい大きな力を味あわせてくれたか計り知れない。

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絵の具はイギリスの 「ウィンザー アンド ニュートン」 である。
小さなボディは、トップの部分を取り外すと、それが水入れになり、二つに開くと折りたたんだ
2枚のパレットが用意されている。

右側には、携帯用の平べったい水入れのボトルが、見事に収まっていて、その側面も
パレットとして使える工夫もある。

付属の小筆も二つ折れになり、体裁よく仕舞う事が出来る。


小学生4年頃から日本画の先生につき、それ以来、はたして絵を描き始めて何年になるか。

途中長い中断もあるにはあったが、常に絵は描こうという気持ちは切れることはなかった。


普段使っている絵の具は、ドイツ製の「ペリカン固形絵の具」の24色で、豊かな色数と
思いのままの色彩の美しさで、昔からの愛用品でもある。

スケッチブックはフランスの「モンバル キャンソン」か、イギリスの「ワットマン」が好みである。

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いま、退院後、この 「ウィンザー アンド ニュートン」の絵の具をつくづくと見る。

まだ一度も使っていない。

写真を撮るので、初めて細い小筆に水をふくませ、小さな絵の具のかたまりにつけてみた。

小さな形ばかりのパレットに、その色を置いてみる。

昔からの憧れの絵の具の色をはじめてそこに見た。

画用紙にも、そのブルーをなぞってみる。

ぞくっとする程の発色の良さがそこに現れた。

一つの絵の具の大きさが、1、2センチに、1、8センチの、本当に小さな絵の具。

「ペリカン」とは、比べ物にならない小ささだ。


体調がすっかり元に戻り、再び風景スケッチが始まっても、この絵の具を実際に使うだろうか。

あの入院中での、大きな支えになった、この小さな絵の具。

色の良さは抜群、持ち運びにも最適、フィールドにも、もってこいだ。

しかし、これからの生涯、あの苦しかった時の、心の支えの記念として、この絵の具を
減らすこともなく、綺麗なままで、大切に大切に持ち続けるかもしれない。


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コメント

お久しぶりです。
お元気に復活されたようでなによりです。

私も今年は激動の1年でした。
まだ続きそうですが。。

本日久しぶりに自転車に乗ったのでブッポロさんときみおさんの所によってみました。

ではまた

投稿: 猫翼 | 2005年12月18日 01時11分

使ってこその道具。と、云いますが、物理的に使わなくてもプッポロさんのように心で使っている場合もありますよね。

照れくさい言い方ですが・・・
ワットマンのスケッチブックに、ウインザー・アンド・ニュートンの絵の具が染み込むことがなくても、プッポロさんの想いは僕の心に染みました。

投稿: time@ | 2005年12月18日 06時44分

猫翼さん こんにちは。
本当にお久し振りです。
私は、お陰様で何とかやっておりますが、それでも、まだまだ処置が大変な所もあります。

今年の後半は、思わぬ出来事で、一時は人生最大のピンチとさえ思えるほどでした。

来年こそは、穏やかで静かな一年でありたいと願うばかりであります。

何しろ男は大変ですね。

仕事に、家庭に、そして自分自身の管理と目の回るような忙しさです。

自転車に乗られましたか。
それは良かった。

私はもう少しお預けのようで、早くまた、多摩サイに、荒サイにと走りたいものです。

猫翼さんも、どうぞおからだにお気をつけて、ご活躍くださいませ。
来年は、どうぞ良い年になりますように、お祈りいたします。

有難うございました。

投稿: プッポロ | 2005年12月18日 16時05分

time@さん こんにちは。
以前にもブログに書きましたが、パーカーの万年筆。このようなコメントも別の紙に一度書くのですが、これがすべて、この万年筆であります。
インクの色は明るいライトブルー、凄く綺麗な色です。(それはどうでもいいのですが)

もう何年にもなりますが、使うほどにますます書きやすくなり、手放せない思いです。

どんな道具にも、ほんの小さな命があるように思います。

それが使い手を助けてくれる様に感じます。

この万年筆の場合は、私の字の下手さを、書きやすさとインクの綺麗さで大いにおぎなってくれているようです。

ウィンザーアンドニュートンの絵の具には、心の底から助けられました。

持っているだけで楽しかったのです。
それは、この絵の具が、苦痛の中から私に夢を与えてくれたのだと、いま自分では思っています。

これから再びスケッチに行かれそうですが、使っても使わなくても、この小さな絵の具を持っていこうと考えています。

time@さんのとっても素直なコメント、嬉しいです。

投稿: プッポロ | 2005年12月18日 16時28分

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